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医学部受験生増加の底流にあるものは?

- 2013.05.15 Wednesday msophia

今年の九大医学部に入試において、久留米附設合格者数は大激減だったそうだ。聞くところでは、現役合格者が4名のみ。数字だけで見れば「惨敗」だった。私の母校明善校では現役合格者が1名。ラサールも現役合格者は少なかったということだ。サンデー毎日の恒例の合格者確認記事では、九大医学では公立高校の合格者が増えていた。公立高校の逆襲が始まったのだろうか。月謝も無料だから、公立へと流れる生徒が増えたのだろうか。民主党政権のバラマキ政策が影響したのだろうか?どうも、違う事実がこういった結果をひきおこしているのではないかと、私は推測している。

確かに、医学部へ入学すれば、勤務医でも会社勤務の人達よりかなり給料はよいようではある。だが、実際に、きちんとした所得をもらうようになるのは、インターン終了後の4年は経過しない限り、医者は薄給である。現役合格しても、きちんとした給料をもらい、社会保険にはいり、年金をかけるようになるまでは、少なくとも、10年はかかる。30際に近い年齢で人並みの待遇をえることができる。研究医になれば、意外なほどの、人並みの給料に甘んじることになる。人並みの技術を身につけ、高給をもらうようになるまでは、かなりの歳月を必要とする。

なぜこうも医学部志望者が増えるのか?不思議ではある。特に西日本ではこの傾向が顕著である。関東では、大都会の東京のお金持ちは頑張って医者にならずとも、100坪程度の空き地があれば、数十万のパーキングをこしらえられるし、そうでなくとも小さなプレハブをこしらえて貸せば1戸で数万の所得となる。簡単にお金が入るシステムがある。西日本ではそういった不動産所得も得難いし、ビジネスも仕掛けにくい。スケールメリットもないから、ビジネス投資をしてもゲインできない。昔のビルオーナーは売りたくとも買い手がないから、売れずに、困っている。九州では、福岡市、熊本市、鹿児島市、長崎市の不動産取引が活発であるくらいで、残りの地方は借金は返済できずテナントは空き室が多い、塩漬けではなかろうか。

ビジネスのみならず、東京の学生は東大、慶應、早稲田、一つ橋に簡単に家から通うことができる。田舎からそういった大学に通うには大変な学費がかかる。エリートキャリアーを取り難い学習環境にある西日本の人は、先を考えると医学部を消去法的に選択する。しかも、西日本は明治維新が西のほうの勢力が引き起こしたものだったから、関東、東北といった反維新勢力に維新後は医学部の設立を容易に認めなかった。首都は東京においたのに、今でも、関東地方の医学部は比較的少ない。

こういった、歴史的、地理的事情により西日本では医学部熱が高まったとみるべきだろう。大阪などは、電気通信開発のメッカだったが、今や凋落がひどいものだ。本社はほとんど東京へもっていかれたから、財政が悪いのは当然だ。

東大や京大に行った生徒が、卒業して九大医学部を改めて目指す動きがみられる。私の塾でもそういう傾向がある。全体的な規模でみればかなり既卒者が九大医学に合格している。今年、松本ソフィアの附設生が九医に3番の成績で現役合格したが、彼によると、「年上の人が多いから、面喰った」ということだ。九医でそうなら、佐賀医学部レベルはレベルが低くなるだけに、より一層既卒者が多いとみる。

その結果が、ラサール、附設の現役合格者の激減につながったのではないだろうか。附設も浪人生の合格者が8名いたのだから、京大卒、東大卒の優秀な生徒が混じっていたのだろう。こういった傾向は医学部にはいいことではないだろうか。18歳で医学部にストレート合格するのは素晴らしいが、人間的には未熟な子供である。「これで自分は勝ち組になった」などという幻想を持ちかねない。周りに、苦労人がいれば、そういう人達をみることで、自分の成長の糧とすることができる。アメリカと同じく、4年大学をすませて、初めて医学部へ入学させるというシステムをモデルにして、再考すべき時がきているのかもしれない。

http://toyokeizai.net/articles/-/13882には最近の興味あるテーマが掲載されている。是非とも、ご覧になったらよいだろう。


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